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自転車のコンポーネントとは、自転車の駆動に関係する基本的な部品群(ギヤ周りの駆動部や、ディレイラー、ブレーキレバー、ブレーキ本体、クランク、ペダル、チェーンリング、スプロケット、ハブ、ボトムブラケットなど)のことを指します。
クランクセット
出典 Amazon
なお、ホイールやハンドルはコンポーネントとは異なるカテゴリに位置しています。
コンポーネントは、走行時の操作感に大きな影響を及ぼす重要なパーツで、たとえば変速数はフロントギアの枚数とスプロケットの枚数で決まり、高グレードのコンポーネントは変速数が多いのが一般的。操作もスムーズかつ素早くシフトすることができます。
クロスバイクの性能は、フレームによってその性能が大きく変わりますが、それと同様にコンポーネントも性能に関わっています。
位置づけとしては、フレームが走行性能に関係している箇所で、コンポーネントは変速や停止、ペダルの踏み具合などの操作感に関係している箇所です。
フレーム | コンポーネント |
---|---|
走行性能に関係 | 変速や停止、ペダルの踏み具合などの操作感に関係 |
例えば、シマノアルタスは、エントリーモデルによく使用されるコンポーネントで、手に入れやすい価格ながら耐久性に優れ快連な操作感が特徴。
コンポーネントは主要な構成部品が同じメーカーの同じグレードのグルーブでそろえられるようになっており、それにより高い性能を発揮できるように設計されています。
以前は違ったメーカーのパーツを組み合わせて使っていましたが、組み込まれるパーツのメーカーを統一することで、よりよいパフォーマンスを発揮できるようにするという、この方式は現在では定番化しました。
なお、現在フルセットでの製造を行っているのは世界に数社しかなく、日本で販売されているクロスバイクでは日本のパーツメーカーである、シマノのコンポーネントが大半を占めます。
フレームと同様に、コンポーネントにも最新のテクノロジーが投入されており、素材で言えばチタンやカーボンのような先進素材が当たり前のように使われています。
また、システムの開発スピードも早く、次々に新しい方式が投入されており、日進月歩で進化しています。
パーツ |
説明 |
---|---|
ブレーキ |
速度を制動する重要なパーツ。グレードによってアームの強度や精度などに違いがあります。リムを挟んで制動するブレーキ式が主流ですが、最近ではディスクブレーキ式のモデルも増えてきています。 |
チェーン |
各メーカー、リアの段数ごとに専用のチェーンが用意されます。また、グレードによって仕上げ等が変わります。 |
レバー |
変速の操作を行うパーツです。メーカーやグレードによって操作方法や握り心地が異なり、好みが分かれやすいパーツでもあります。 |
クランク | ペダルを踏んでチェーンリングを動かすパーツです。各メーカー取り付け方式や材質などそれぞれに工夫をこらしてしています。 |
フロントディレイラー |
フロントギアを掛け替えるパーツ。ダブル用(前のギア2枚)とトリプル用(前のギア3枚)が主流で、ダブルはロードバイク寄りのクロスバイクに多く、トリプルはMTB寄りのクロスバイクに多いです。 |
リアディレイラー |
スプロケット上のチェーンを掛け替える変速機です。各メカの中でも最も酷使されるリアの変速機。変速のしやすさ、軽さなど、走行感に大きく関係しています。 |
スプロケット |
リアのギヤで、スプロケットも呼ばれます。クロスバイクでは、7段から9段が主流で、グレードが高いほど段数が多い傾向にあります。段数が多いと細かい変速が可能なため、脚への負担軽減になります。 |
BB(ボトムブラケット) |
クランク回転軸のベアリングをユニット化したのがBBです。セットされるハンガー部分には2種類の規格があります。 |
出典 Amazon
シマノは1921年に大阪府の堺市で創業した世界最大規模の自転車パーツメーカーで、釣り具メーカーとしても有名です。
以前はクランクセット単品、ブレーキアーチ単品といった具合に、各パーツを専門に作るメーカーが数多く存在しており、それらを自由に組み合わせてスポーツ自転車は作られていました。
シマノはそれらのパーツを一括で管理すべく、1982年に正確にシフトできる段階式の変速機である「シマノ・インデックス・システム(SIS)」をリリースし、コンポーネントという概念を広めていきました。
現在の主なコンポーネントメーカーは世界に3社で、日本のシマノ、イタリアのカンパニョーロ、アメリカのスラムです。
日本国内で販売されているクロスバイクの完成車のほとんどがシマノのコンポーネントを採用しています。そのため、カンパニョーロやスラムのコンポーネントはクロスバイクではあまり見られません。
シマノとスラムはロードバイク用、MTB用を取り扱っており、カンパニョーロは現在、ロードバイク用のみを製造しています。
日本が世界に誇るグローバル企業の代表。製品の品質、操作性および耐久性はもちろん、価格面においてもライバル他社の追随を許さない。ラインナップの豊富さも魅力のひとつに。
イタリアの自転車用コンポーネントメーカー。かつて数年間、MTB用コンポーネントもリリースしていましたが、現在ではロードバイク用のみをラインアップ。シマノのSTIシステムに対して、カンパニョーロはエルゴーパワーを開発。その乗り手の感性に問いかける操作性と洗練されたデザイン性により、好んでカンパニョーロのコンポーネントを使用するマニアも少なくありません。
アメリカを代表するサイクルパーツメーカー。かつてはMTB用コンポーネントを主としてラインナップしてきましたが、現在ではロードバイク用コンポーネントの開発にも積極的、余念がありません。グループ傘下にMTBシーンに欠かすことのできないブランドを多数収め、高い影響力を持っています。
同一メーカーであればパーツの互換性はあります。下位グレードのブレーキをアップグレードすることは可能です。また、同じ速数であればチェーンも互換性があるため、チェーンだけアップグレードさせることはできます。(チェーン購入の際は対応ギア数を必ず確認)
また、新興メーカーであるスラム等は、シェアが最も大きいシマノの規格に合わせて製品をつくっているため、シマノとの互換性があります。
シマノとカンパニョーロのパーツの互換性はないため、一箇所だけカンパニョーロのものを採用するようなことはできません。そのためコンポーネントのメーカーを変更しようとしますと、ほとんどの部品を交換する必要があります。
各社のホイール等の設定を見ても、シマノ用とカンパニョーロ用はフリーハブ部分の規格が異なるため、個別に設定されています。
コンポーネントには数種類のグレードが存在します。グレードの違いで最も変わる箇所は、リア(後輪側)スプロケットの枚数、つまり変速段数によるところも大きいです。
他にも、上位のコンポーネントほど良い素材を用いており、優れた加工が施されしており、操作性に優れ変速の正確性が高く、スムーズなペダリング感や、ブレーキ性能の向上、距離を伸ばしても性能が低下しにくいなど、レースで活躍することを想定された性能となります。
また、耐久性も上がる一方で、重量は軽くなっていきます。さらに、高グレードのコンポーネントは見た目の質感も高く、クロスバイクの見た目を底上げしてくれます。
コンポーネントのグレードの違いは目に見える部分から見えない部分まで多岐にわたりますが、最もわかりやすいのは「グレードが上がるとリアのギヤ数が増え、価格が上がり、重量が軽くなる」ということでしょう。
軽量化するためには高価な材料を使用したり、特殊な加工を行ったりするため、価格も上がっていきます。
また、部品の加工技術に差があり、シフトのタッチ等にその差が出たりすることもあります。
実際に使ってみるとエントリーモデルとハイエンドの物ではシフトのフィーリングや、ブレーキの効きに差があります。特に、上級グレードになるほど剛性が高く、細やかな感じの制動力が得られます。
高グレードのコンポーネントは自転車通勤レベルでしか使わない人にとってはオーバースペックになりがちですが、たとえ自転車通勤であっても正確な変速や絶妙なブレーキ感のクロスバイクは、走る楽しさを底上げしてくれます。
高グレード | 低グレード | |
---|---|---|
後ろのギア | 多い | 少ない |
変速の正確性 | 精度が高い | そこそこの精度 |
耐久性 | 高耐久 | 普通の耐久性 |
重量 | 軽い | 軽くない |
メーカー各社のコンポーネントにはいくつかグレードがあり、ここではシマノがラインナップするコンポーネントについて、グレードの一覧を掲載します。
クロスバイクは大きく分けますと、ロードバイク向けコンポーネントか、MTB向けのコンポーネントを用いていることが多く、基本的にはエントリーグレードから中級グレードのコンポーネントが採用されています。
完成車を購入する際も、装着されているコンポーネントのグレードに応じて、そのモデルがどの位置づけにあるのか目安にもなります。
ロード向けコンポーネント | MTB向けコンポーネント | |
---|---|---|
エントリーグレード |
|
|
↑ |
|
|
中級グレード |
|
|
↓ |
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上級グレード |
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同じメーカーのコンポーネントは複数のシリーズを組み合わせることも可能で、一部クロスバイクでは、「SHIMANO SORA MIX」のように、「SHIMANO SORA」をベースとして、他のグレードのパーツをミックスさせてパーツを組んでいることもよくあります。
主な理由はコストダウンで、対象となるのはクランクセットやブレーキキャリパー、チェーンなどです。
メジャーブランドのクロスバイクは、各種パーツの組み合わせのテストを経て作られていますので、コンポーネントをミックスして用いていても問題はありません。もちろん、購入後に自分のクロスバイクのブレーキを上位コンポーネントにアップグレードすることも可能です。
ベースになっているフレームやコンポーネントの構成によっては、装着できないパーツもありますが、自分の好きなようにパーツをミックスさせる楽しさもクロスバイクの楽しみの一つです。
完成車についているクロスバイクのコンポーネントは、モデルによってグレードや大きさが異なります。しかし最初のうちはあまり気にしなくて良いです。
コンポーネントのグレードと性能は確実に比例しますが、ただグレードの高いコンポーネントを使えば良いというものでもありません。しっかりとしたブランドから発売されているクロスバイクを選ぶのであれば、コンポーネントは、TOURNEY・CLARIS・ALTUS・ACERAあたりのエントリーグレードで十分です。
ここで気をつけておきたいこととしては、しっかりとしたブランドから発売されていないクロスバイクのコンポーネントの箇所に「シマノ製」としか記載されていないものについては、何が備わっているかわからないため、そのようなものは避けたほうが良いでしょう。
覚えておきたいのは、105やSLXのような上位グレードを選択したところで、エントリーグレードよりも圧倒的な速度を出せるというわけではありません。
言い換えれば、ギヤやブレーキなどを構成するするコンポーネントの性能でスピードが変化したり、基本的な使い方が変わったりすることはありません。早く走れるかどうかは、あくまで自分の体力と技術によるものが大きいと覚えておきましょう。ただ、上位グレードのもののほうが快適に走行できるので、遠くに行きやすくなるというのはあります。
エントリーグレードのコンポーネントは、とかく侮られがちですが、よく整備されていれば高いパフォーマンスを発揮します。反対に、最上級のコンポーネントを装備していても、整備不良では格下のクロスバイクのコンポーネントに劣ってしまうこともあります。
自転車の部品はあくまで機械。そのため、整備をきちんと行わずに性能を十分に発揮することはできません。
まだメンテナンスのしかたもコツもわかっていないのに高級コンポを選んでも、最初のうちはきちんとメンテナンスできないのでもったいないだけです。まずはエントリーグレードのコンポでメンテナンスのイロハを覚えるべきです。
変速機の速数は、時代と共に増えてきました。ロードバイクの上位コンポーネントであれば、11速のものも存在しておりますが、クロスバイクに乗る全ての人にとってこの11速が必要な物かと言われればそうとも限りません。
例えばレースに出場するのであれば速数が多い方が、足の力を一定で回し続けることが容易なので、体力の消費を抑えることができるというアドバンテージがあり、レースなどに適していると言えます。
また、ギヤ数が多いと、たとえば急な上り坂でもスムーズに対応できたり、細かなシフトチェンジができればトレイルライドでも効率的なライディングができたりします。
ただ、多くの人がそのような場面でクロスバイクを用いるわけではなく、日常生活の延長線上や、ハード過ぎないトレーニングやスポーツライドにクロスバイクを用いる事が多いのであれば、絶対的にギヤの数が多いということが有利というわけではありません。
しかし歯数が増えれば重量も増すため、一概にギヤ数が多いほうがいいというわけではありません。大切なのは用途に応じたバランスです。初めての一台を選ぶのであれば、しっかりとしたブランドのエントリーモデルについている7速のコンポーネントでも十分ということを覚えておきましょう。
(ただ、これはクロスバイクに限ります。ロードバイクを選ぶ場合は、将来のことを考えるのであれば、中級グレードを選ぶのも間違っていない選択です)