雪が積もってしまう地域であれば自転車を使って通勤するのは危険ですが、雪の頻度が低い地域であれば、夏よりも冬のほうが対策をとりやすいので自転車通勤を続けやすい季節ともいえます。ただ、それなりの防寒などが必要になりますのでそれらについて紹介します。
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日本では雪国の積雪期を除けば、自転車通勤できないほど寒い状況になることはほとんどありません。冬の寒さは、よほどのことがない限り、ウエアの工夫で対応可能です。実際に走り出して5分ほどたてば体が温まってくるので必要以上に暖をとる必要はありません。また、厚くなってきたら体温調節を行いやすいよう服は重ね着で脱ぎ着がしやすいようにしておくのがポイント。
自転車通勤する距離にもよりますが、クロスバイクの自転車通勤圏である5km~10kmの距離であれば、気温が0度までは上半身はアンダーウエアとサイクルジャケットそしてアウターの3種で対応できます。また、2km程度の距離であれば体が温まる前に自転車を降りることになりますので、自転車に特化した防寒対策はそこまで必要ではないでしょう。
まずアンダーウエアですが、モンベルのジオラインやスーパーメリノウールなど保温性と速乾性の高い素材を使っているものおすすめ。暖かいイメージであるユニクロのヒートテックは汗を吸うわりに発汗性能が低いので、実は激しい運動には向きません。同様に、吸水性のある綿などの素材のアンダーウエアは汗が冷えると寒くなるので避けましょう。
なお、このジオライドは自転車用に開発されたのではなく当初は登山を想定して作られたもの。そのため、山登りに使えるのはもちろん、冬の釣りやスケートなどのスポーツだけでなく、寒冷地に行くときに着ていくなど様々な場面で大活躍するアイテムです。定価は約3,500円とヒートテックなどと比べると高価ですが、機能性や使い勝手を考えるとそう高くはない買い物です。
サイクルジャージはアンダーウエアの上に着ます。サイクルジャージのみでは寒いのですが、アンダーウエアと組み合わせることによって保温性を高めてくれます。走行しているうちに体が暖まってきたら脱ぎ着しやすいようにジッパーのものを選びましょう。
アンダーウエアやサイクルジャージの上に着るものはウインドブレーカーや高機能レインウエアを用います。冬の冷たい風を防ぎ、体温を下げない工夫がなされているものを選びましょう。
高機能レインウエアは水を通さず湿気のみを通す防水透湿素材。登山や自転車との親和性が高く、雨はもちろん、寒さを防ぎ、身体が暖まってきたら蒸れないような作りになっています。デザインは各人の好みですが、色は自転車通勤中の事故を避けるため派手目の色のものや、反射する素材が使われているものがおすすめです。
ウインドブレーカーは年中使えるだけでなく、軽量で畳むと非常に小さくなるというメリットがあります。ただし、薄すぎるものは防寒には使いにくいものも。薄いウインドブレーカーの場合は、アンダーウエアの上に長袖サイクルジャージを重ね着することで暖かさを保つ工夫を行いましょう。
シマノ コンパクト ウィンドブレーカー
コンパクトに収納が可能なウインドブレーカー。夜間の走行中、車などのライトが当たると反射して光るので安全性が高い。背中と脇部分はメッシュになっているので蒸れにくい。
ウインドブレーカーの代わりにゴアテックスなどの防水透湿素材のレインウエアもおすすめ。激しく動いても衣服内で蒸れることがないので快適。レインウエアなので雨が降ってきても大丈夫。ただし、ゴアテックス素材のレインウエアは高価であることと、かさ張るのが難点。予算があればこちらを選ぶことをおすすめします。なお、高機能レインウエアについては「自転車通勤におすすめの高機能レインコート」にて紹介しているので参考に。
汗をかきにくいのでスーツのパンツを使いがちですが、ペダルを回すごとにサドルとパンツがすれてしまうのでパンツが傷みやすくなるのでスーツのパンツで乗車するのはおすすめしません。
そこでスポーツに適したパンツを選ぶことになります。寒さ対策のために通気性が良すぎるものも避けるべきですが、やはりハーフパンツでは寒いです。登山用やランニング用など、わりと幅広く使えるので、手持ちのトレーニングウエアの中で使えそうなものを探してみましょう。ベストは機能性が非常につよいCW-Xのスポーツタイツ。動きやすいだけでなく吸汗速乾素材を使っているので自転車と非常に親和性の高いアイテムです。
他にも、ユニクロのジョガーパンツなどは動きやすく裾が絞れているので裾バンド不要で便利。もちろん、会社についたら着替える前提で。
なお、ユニクロつながりだとフリース素材のパンツがありますが、これではあったかすぎるので2kmほどの短距離の自転車通勤ならまだしも、クロスバイクでちょうどいい距離の5km~10kmの自転車通勤の場合は避けたほうが無難。
パールイズミ8300 ウィンターライトグローブ
参考価格:7,020円
硬質素材を使用しているので寒風から手を守る。つけたままスマートフォンの操作が可能なので、通勤中のメールチェックもできる。
衣服部分以上に対策が必要なのが指先。というのも、クロスバイクを漕いでいれば体の中心から温まってきますが、指先まではなかなか暖まらず、外気や風によって冷やされてしまいます。手がかじかんでハンドル操作やブレーキに支障が出てしまうことは避けましょう。
グローブは指ぬきのものでなく、指先までカバーできるものを選びましょう。また、薄手のグローブでは冷たい風を通してしまい保温ができないため指先を冷やしてしまいがちなので、厚手の防風素材のものを選びましょう。
上記で紹介しているパールイズミ8300 ウィンターライトグローブあたりであれば耐水性の高い素材を使っていますので、少しの雨なら指先を濡らすこともありません。なお、グローブ一枚で寒い場合は、薄めの手袋をした状態でグローブを着用すると保温力が高まります。
耳も指先同様温まりにくい場所なので、真冬の風にさらし続けると非常に辛いです。対応策としては、イヤーガードや耳まで隠れる帽子、フェイスマスクなどがあります。最も手軽なのがイヤーガードで100円均一ショップにも売っています。なお、100円均一で売っているようなイヤーガードは連結部を頭の上にかけて使用するのではなく、耳にはめた状態で首の後ろに連結部をもっていきます。
自転車用のイヤーガードもあり少々値段は上がりますが、着用していても首を振りやすく、外部の音を遮断しないようになっているので安全性が高いです。
首まわりは特に冷えるもの。首にも暖かさを確保できるアクセサリを準備しておきましょう。
マフラーは走行中に外れてしまいホイールへ巻き込んでしまうと大事故につながる危険性もあるので避けましょう。というのも、速度を出すために前傾姿勢を取ったり停止して普通の姿勢に戻ったりを繰り返すと体が前後することが多くなり、普通のマフラーでは外れてしまいやすいのです。
そのため、クロスバイクではすっぽりかぶることができるネックウォーマーを使います。寒い場合は着用しておいて、走っているうちに熱くなったら容易に外すことができ、体温調整が簡単なので自転車通勤するうえで非常に便利なアクセサリです。
おすすめは内側がフリース素材になっていて、首に着用後搾れる機能があるもの。内側は暖かく、絞ることによって外気をシャットアウトすれば冬の寒さもそうつらくはありません。また、非常に寒い場合は鼻の位置までネックウォーマーを上げて顔の半分を防寒することも可能です。
いつもよりさらに寒い場合は厚いウエア1枚より薄いウエア2枚を重ねて着るというテクニックもあります。体が温まってきたら脱ぐことで体温調整が容易です。
自転車通勤レベルであれば薄いダウンジャケットを着て暑くなったらコンパクトに畳むという方法でも十分です。モンベルのスペリオダウン ラウンドネックジャケットは薄いのですが非常に暖かく小さく折りたたむことができるので便利です。特に、5km以内の通勤経路であれば寒く感じる時間が多いので役に立ちます。
なお、暖かい家や会社から外に出て走り出すのは確かに寒いのですが、そのうち身体の内部から暖まってきます。防寒力の高いモンクレールなどのダウンジャケットは暖かいのですが、走り出すと熱すぎて大量に汗をかいてしまいます。さらに、走り出すときに寒いくらいがちょうどいいです。着込みすぎには注意しましょう。
雪の日は道路が非常に滑りやすくなっており、転倒してしまうリスクが高まります。潔く自転車はあきらめましょう。また、雪が降っていなくても道路が凍結するぐらい寒いと細いタイヤではグリップ力が弱いので危険すぎます。とくに橋の上は普通の道と比べて路面が凍結しやすいので注意しましょう。ママチャリ並みのゆっくりとした速度で渡りましょう。
クロスバイクから降りたら汗をふいてから着替えましょう。外が寒い冬であっても知らないうちに汗をかいているものです。冬場は外気温が極端に低いため、そのままにすると汗は蒸発せず、体の表面に残ってじわじわと体温低下を引き起こすことになるので注意しましょう。
冬の自転車通勤は高機能アンダーウエアと高機能レインウエアをそろえておき、後はこまごまとしたアクセサリでカバーするという方法でそこまで寒さを気にすることなく自転車通勤ができます。もちろん上記で紹介したアンダーウエアやレインウエアは自転車通勤だけでなく、様々な場面で活用できるので一式持っておくことをおすすめします。