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クロスバイクにとって、ブレーキは命につながる非常に重要なパーツです。そのブレーキの2022年モデルの傾向として、ディスクプレーキモデルが主力になりつつあるということが挙げられます。
それまではホイールのリムをブレーキシューで挟み込んでクロスバイク制動させていたタイプのブレーキが主流でしたが、車輪中央部のローターを挟むことでクロスバイクを制動させるディスクブレーキを備えたモデルが2022年は増えてきました。
ディスクブレーキ | 車輪中央部のローターを挟むことでクロスバイクを制動する |
---|---|
リムブレーキ | ホイール側面のリムをブレーキシューで挟み込んで制動する |
ディスクブレーキモデルがここまで多くリリースされるようになったのは、ディスクブレーキが一般化したことによるパーツコストが下がったことに加え、安全性が高いためです。
晴れている場合は特にその差は感じにくいのですが、雨天時や路面が濡れている場合、リムを挟み込むタイプの場合は、リムとブレーキシューの間に水分が入り込むことで大きく制動性が落ちます。
一方で、ディスクブレーキはリムを挟み込むわけではありませんので、制動性が下がりにくく安全性を高めてくれるのは大きなメリットです。
特に、クロスバイクは晴れている場合のみ乗るという使い方よりも、通勤や通学を中心に用いるという人も多いため、朝は晴れていても帰りは雨天など、様々な天候に対応できるディスクブレーキはメリットが大きいといえます。
一点注意したいこととしては、ディスクブレーキも消耗品で、1~2年に1回と非常に間隔としては長いのですが、定期的な交換が必要ということを知っておきましょう。
というのも、ディスクブレーキは外から見てもその消耗に気づきにくい形状ですので、メンテナンスすることすら気が向かないことも多いのです。
特に、通勤や通学にのみ使う人は、ブレーキから異変がしても詳しく調べず、修理せずにそのままにしてしまう傾向があるのも事実です。
ディスクブレーキも、長い間使い続けると消耗し、そのうち制動できなくなります。そうなると非常に危険で、命に関わることにもなります。
止まりづらさを感じたり、異音がしたりするような場合は、購入した店舗でチェックしてもらい、必要に応じて交換することを忘れないようにしましょう(初心者にとってディスクブレーキの交換は敷居が高いです)。
ディスクブレーキのリリース数が多数派になったとはいえ、ディスクブレーキでなければ購入する価値もないと言うわけでもありません。
リムブレーキモデルがこれまで十分に販売されているため、目新しいタイプのディスクブレーキモデルをリリースしたいメーカー側の思惑もあるためです。
路面状態が悪くない晴天時などの制動性は、ディスクブレーキとリムブレーキはほぼ同じですし、重量も軽く、ブレーキシューが露出しているためシューの減り具合の確認や、交換などメンテナンスも簡単です。そして何より、価格が抑えめという大きなメリットが魅力です。
ディスクブレーキでないからと言って選択肢から外すのは若干もったいないといえます。
数年前からグラベルタイプのクロスバイクが増えてきていますが、その傾向は今年も続いています。
クロスバイクが出始めの頃は、MTBのフレームにロードバイクのタイヤを履いたモデルがほとんどでした。
ロードバイクの深い前傾姿勢と癖の強いドロップハンドルに比べますと、MTBの乗車姿勢は普通の自転車と同じ要領で乗りやすく、初心者でも扱いやすくなっています。
そして、未舗装路を走る前提のMTBのタイヤではなく、ロードバイクで用いられる細めの抵抗の少ないタイヤを履くことで、高い速度域で軽快に走行できるようになったクロスバイクは、世の中に広まっていきました。
世の中にクロスバイクという自転車の種類が知られるようになった後、クロスバイクは徐々にですが独自の進化を遂げ始めます。
フレームやパーツ構成もクロスバイク黎明期のように、MTBのものを用いるのではなくなります。
MTBのようなハードな使い方と、ロードバイクのように速く遠くに走るという使い方の間に位置するよう、クロスバイクのフレーム形状やパーツ構成は進化していきました。
また、より高い速度域を出したいというニーズにこたえるように、ロードバイクのハンドルだけがフラットバーになった、「フラットバーロード」もリリースされ、クロスバイクでも早く遠くに走行することが可能になりました。
※もちろん、フラットバーロードは今でも人気の車種です。
近年、クロスバイクのポジションが確立されますと、クロスバイクのタイヤを40C以上の太くてエアボリュームのあるタイプを採用するものが増加していきます。それがグラベルタイプと呼ばれるものとなりました。
クロスバイク独自の乗車しやすいフレーム形状や、操作性の高さ。それに加え、太めで空気量が多いタイヤによって段差の多い都市部を快適に走ることのできるグラベルモデルは、他人と比べて速く走るという目的ではなく、楽しく都市部を移動したいというニーズを捉えたものと言えます。
今回より紹介ブランドにヴァンムーフとヤマハを追加していますが、これはクロスバイクに電動アシストタイプが増えてきていることもあるためです。
とくに坂の多い地域で自転車通勤を行う場合は、クロスバイクの快適かつ軽快な速度域と、坂を登る際の電動アシストの両方を活用できるため、これらのモデルを選択肢にする人も多いでしょう。
電動アシストが付いていないモデルに比べると約20~30万価格は上がりますが、体力に自信がない人でも簡単に自転車通勤ができる点は大きなポイントと言えます。
2022年モデルの傾向として、前年度に比べて価格が上昇しているモデルが多いです。
実際、このサイトで紹介している2022年モデルについては、2021年のモデルと比較すると、平均12%価格が上昇しています(一方で、価格据え置きはあっても、値下げモデルはナシ)。
ブランド | モデル名 | 2022年 | 2021年 | 比較 |
---|---|---|---|---|
BASSO | LESMO | ¥98,780 | ¥87,780 | ¥11,000 |
BIANCHI | C-SPORT 1 | ¥74,800 | ¥65,780 | ¥9,020 |
BMC | ALPENCHALLENGE ONE | ¥176,000 | ¥176,000 | ¥0 |
BRIDGESTONE | TB1 | ¥57,000 | ¥51,480 | ¥5,520 |
CANNONDALE | QUICK 5 | ¥74,800 | ¥60,500 | ¥14,300 |
CENTURION | CROSSLINE RIGID | ¥63,800 | ¥63,800 | ¥0 |
COLNAGO | EPOCA | ¥86,900 | ¥75,900 | ¥11,000 |
CORRATEC | SHAPE SPORT | ¥74,800 | ¥64,900 | ¥9,900 |
FELT | VERZA SPEED 50 | ¥69,080 | ¥63,580 | ¥5,500 |
GIANT | ESCAPE R3 | ¥71,500 | ¥57,200 | ¥14,300 |
GIANT LIV | ESCAPE R3 W | ¥71,500 | ¥57,200 | ¥14,300 |
GIOS | MISTRAL | ¥59,400 | ¥56,100 | ¥3,300 |
GT | TRANSEO SPORT V2 | ¥59,180 | ¥56,980 | ¥2,200 |
KHODAA BLOOM | RAIL 700A | ¥56,100 | ¥52,800 | ¥3,300 |
KONA | DEW | ¥75,900 | ¥67,100 | ¥8,800 |
LOUIS GARNEAU | SETTER 8.0 | ¥64,900 | ¥59,400 | ¥5,500 |
MARIN BIKES | KENTFIELD 1 | ¥64,900 | ¥54,890 | ¥10,010 |
MERIDA | CROSSWAY 100-R | ¥64,900 | ¥61,490 | ¥3,410 |
NESTO | LIMIT 2 | ¥59,950 | ¥55,000 | ¥4,950 |
RALEIGH | CLB | ¥90,200 | ¥79,200 | ¥11,000 |
RITEWAY | SHEPHERD CITY | ¥69,080 | ¥63,580 | ¥5,500 |
SCHWINN | BELFIELD | ¥62,700 | ¥62,700 | ¥0 |
SPECIALIZED | SIRRUS 2.0 | ¥88,000 | ¥68,200 | ¥19,800 |
TERN | CLUCH | ¥63,800 | ¥58,300 | ¥5,500 |
TREK | FX 1 Disc | ¥73,700 | ¥60,500 | ¥13,200 |
値上がり傾向の理由は複数ありますが、2021年頃から、円安傾向や各種原材料やパーツの高騰、注文の集中による工場の人件費や輸送費の上昇などの状況が続いていることなど、複数の要因があります。
とくに、パーツ高騰の影響が自転車業界の全体的な値上げに直結しています。
自転車の価格が高騰している傾向は、2022年で収まるわけでなく、まだまだ続くとされています。
そのため、前年とほとんど同じパーツ構成の同じモデルなのに、値上がりしているモデルや、年の途中に価格改定されるモデルなど、2022年だけでなく、2023年も続くだろうと予想されます。
自転車全体の値上がり傾向が続いているとはいえ、前年よりも大きく価格を上げると、消費者に買ってもらえなくなりますので、各ブランドともに価格を抑える工夫を凝らしています。
例えば、コストダウンを行いやすいのは変速レバーや変速機のパーツです。というのも、これらのグレードを下げると、操作感が落ちても、安全性や走行感が著しく落ちるわけではないためです。
操作感 | 変速やブレーキなどのタッチが滑らかに操作できる | 重要度:低 |
走行感 | 早く・遠くに・快適に走る | 重要度:中 |
安全性 | 安全に走る | 重要度:高 |
タイヤやブレーキのグレードを下げるのは安全性や走行感を犠牲にすることにもなりますので、あまり推奨されませんが、変速レバーや変速機などのグレードを下げ、操作感を若干犠牲にして販売価格を抑えるということは、一つの手といえます。
操作感は初心者にとってはそこまで重要な要素ではないため、パーツをダウングレードして価格差を抑えるのは企業努力の一つと捉えてよいでしょう。
一般的なクロスバイクは前のギアを複数枚備えていることがほとんどです。例えば、ロードバイク寄りのモデルの前ギアは2枚、MTB寄りのモデルの前ギアは3枚備えているという具合です。
前のギア | 向いている場面 |
---|---|
1枚 | 街中を適度な速度で走るのに向いている |
2枚 | 高い速度域を走るのに向いている |
3枚 | 短い距離で高低差が激しい箇所を走るのに向いている |
2022年モデルにはNESTのLIMIT3のように前のギアを1枚(フロントシングル)にしてコストを維持するモデルも登場しています。
急な坂が多い場所に住んでいるのであれば、前のギアが複数あったほうが便利ですが、そうでない場合、フロントシングルでも十分です。
前の変速を行わなくても、後ろのギアを適切に変速することで、足腰への負担を大きく抑えることができます。
とくに、初心者は前のギアの変速は滅多に行わないですし、前の変速が無いのであれば、無理な変速を行うことで起こるチェーン落ちなど、変速系のトラブルも減ります。
さらに、使わないギアは重りと同じですので、結果的に重量も抑えることができます。シングルギアはデメリットとは明確に言えませんし、機能を絞って価格を抑えるという方向性としては、ある意味正解かもしれません。
ある一定以上のレベルのクロスバイクにはシマノ製のパーツを用いるのが通常ですが、2022年の一部モデルにはマイクロシフトの変速レバーを採用するものが増えてきています。
マイクロシフトの変速レバーは、シマノ製に比べると操作のスムーズさ(操作感)は落ちますが、パーツが安価ですので、価格を抑えることができます。
クロスバイクの代表格であるエスケープR3も、2022年モデルとしては、変速レバーがシマノ製のものと、マイクロシフト製の2タイプがリリースされています。その価格差は4,400円で、それ以外の構成は基本的に同じです。
エスケープR3 | エスケープR3 MS | |
---|---|---|
価格 | 71,500円 | 67,100円 |
特に、初めてクロスバイクを購入する人にとってはレバーの操作感の違いはそこまで大きな要因ではないですので、安価に抑えたいのであれば、マイクロシフト版を購入するのも一つの手です。
ただ、操作感はやはりシマノ製のもののほうが良質です。特にスポーツ自転車は変速を行う機会が多く、レバーに触れる機会も多いため、もし予算に余裕があるのであれば、迷わず通常版をおすすめします。
前年と同じパーツ構成なら、走行感や走行性能も全く同じかといえばそうではありません。
前年モデルと同じパーツ構成でも、フレーム形状の見直しや改良によって、走行感が向上しているモデルも存在します。
自転車店によっては数年前のモデルを販売しているところもありますが、同じような価格の場合は新しいモデルを選ぶほうが良い場合も。
ただ、このあたりは実際に乗車しないとわかりませんので、なかなか難しいところですが。
2022年モデルとして紹介しているものの中には、在庫がなく、販売していないモデルもあります。
さらに、長期間欠品が続いているものや、今すぐ予約しても納品が2023年になるモデルもあります。
特に、一般的なクロスバイクに比べ、電動ユニットを採用している電動タイプのクロスバイクは、使っている(関係している)パーツも多いため、納品まで長い時間がかかるものが多いです。
もし店舗でほしいモデルが見つかった場合は、お店の人に早めに相談してクロスバイクを抑えてもらったほうが良いでしょう。
在庫がない一つ目の理由は、クロスバイクがよく売れているためです。2022年モデルはパーツの価格が上がったことにより、全体的な値上げとなりましたが、それでも店舗での販売数は増加傾向にあります。
というのも、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、電車を使わない通勤方法としてクロスバイクを用いる人が増えていることや、健康維持のために体を動かす習慣をつけたい人がフィットネス目的で自転車を用いるなどの理由です。
そのため、これまでクロスバイクを購入するターゲットは若者が安価なモデル中心に購入していた状況から変わり、ある程度お金を持った大人が自転車通勤や新たな趣味として用いるようになりました。
安価なモデルだけでなく高価なモデルを購入する人も多く、ロードバイクと同じぐらいの価格帯のモデルであっても、自転車通勤に使いやすい高スペックのクロスバイクを選ぶ傾向があります。
もう一つ在庫がない理由は、生産体制の問題。
こちらも新型コロコロナウイルス響といえますが、フレームなどに用いる原材料や、パーツの入荷が遅れてしまうことや、工場の一時的な閉鎖、世界的な物流の混乱などが起こっており、クロスバイクの納品に相当の時間がかかっています。
ブランドによっては、当初の予定からパーツ構成を若干変更し、リリースするブランドもありますが、それだけでは生産量を通常期と同じぐらいにできるかといえばそうではないのが現状。
2022年モデルの傾向としては、グラベルタイプやディスクブレーキ、電動アシスト付きなど、クロスバイクの利用用途がより多種多様に用いることができるようになった事が挙げられます。
これは、クロスバイクの楽しみ方が広がった証明とも言えます。
一方で、品不足や価格高騰など、ほしいと思ってもなかなか手に入れることができない状況になっていることも挙げられます。
店頭で探しているモデルを見つけた際は、できるだけ前向きに検討することをおすすめします。